シニアデザイナー SHIRAI
2026.8.3
おはようございます、デザイナーとしてアートディレクションとUX業務を担当しているSHIRAI(@shirai_astaster)です。
Webサイトを公開したあと、「ちゃんと見てもらえているかな」「内容は伝わっているかな」と、つい気になるものだと思います。
その中でよく聞かれるのが、「サイトから問い合わせが増えない」という相談です。
思ったほど問い合わせが増えないと、「問い合わせボタンをもっと目立たせた方がいいのかな」と考えるかもしれません。
もちろん、ボタンの色や位置、文言も大切です。
ただ、ユーザーはボタンだけを見て問い合わせを決めているわけではありません。
サービス内容や実績を見ながら、「自分の課題に合いそうか」「安心して相談できそうか」を判断しています。
今回は、Webサイトから問い合わせが増えないときに見直したいポイントを、UXデザインの視点から5つに分けて整理してみます。
問い合わせ前のユーザーは、いきなり連絡したいわけではなく、「この会社は自分の悩みに関係がありそうか」を少しずつ確認しています。
そこから事例や進め方を見て、信頼できそうかを考え、問い合わせに対する不安が減ったところで、次の行動に進みます。
つまり大切なのは、問い合わせボタンそのものだけではなく、ボタンにたどり着くまでの体験全体を見ることです。
それぞれは別々の要素に見えますが、ユーザーにとってはすべてがつながったひとつの体験です。
以前の記事「Webサイト改善はどこから始める?UXデザインで考える課題整理と改善の進め方」では、Webサイト改善の全体的な流れを整理しました。今回はその中でも、問い合わせにつながるまでの体験に絞って考えていきます。

問い合わせにつながらないサイトでまず見直したいのは、「何を相談できる会社なのか」が最初に伝わっているかどうかです。
Webサイトを見ているユーザーは、まだ問い合わせたい人ではなく、「相談してもよさそうか」を見ている段階かもしれません。
ファーストビューを見たときに、何の会社なのか。どんな課題を解決できるのか。誰に向けたサービスなのか。そこが曖昧だと、ユーザーは自分ごととして読み進めにくくなります。
サービス名や専門用語だけでは、内容が伝わりきらないこともあります。
「Web制作」「UXデザイン」「ブランディング」と書くだけでなく、どんな場面で、どんな悩みに対して、何を支援できるのかまで見えると、相談のイメージがしやすくなります。
つくり手としては、会社の強みやサービスの特徴を早く伝えたくなります。
でも、ユーザーが最初に知りたいのは、その前に「自分の課題に関係があるのか」かもしれません。
たとえば、問い合わせ前のユーザーはこんな順番で見ていることがあります。
何をしている会社なのか。
自分の課題に合いそうか。
どんな実績があるのか。
どういう流れで進めるのか。
相談しても大丈夫そうか。
この順番と、サイト上の情報の並びがずれていると、途中で迷いが生まれます。
以前の記事「迷わない体験をつくる情報設計の視点について」でも触れましたが、Webサイトでは「何を載せるか」だけでなく、「どんな順番で届けるか」も大切です。情報の順番が整うだけで、ユーザーの理解はかなり変わります。
問い合わせ前のユーザーは、実績や事例をよく見ています。
ただし、実績はただ並んでいるだけでは、判断材料になりにくいことがあります。
ユーザーが知りたいのは、「何を作ったか」だけではありません。
どんな課題があって、どう考えて進めたのか。どこを担当したのか。自分の課題に近い事例があるのか。そういった情報があると、実績はただの制作物紹介ではなく、安心材料になります。
見た目の完成度を伝えることも大切ですが、その裏側にある考え方やプロセスが見えると、「この会社なら相談できそう」と感じてもらいやすくなります。
完成した画面だけでなく、なぜその形にしたのかが見えると、実績は「作品紹介」ではなく「相談するための判断材料」になります。
問い合わせしない理由は、「興味がない」だけではありません。
問い合わせの手前には、意外とたくさんの小さなブレーキがあります。
まだ相談内容が固まっていない。
費用感がまったくわからない。
どんな流れで進むのか想像できない。
どこまで対応してくれるのかわからない。
問い合わせたあとに、いきなり営業されそうで少し怖い。
こうした小さな不安が、ボタンを押す手前でユーザーを止めていることがあります。
たとえば、「まだ内容が固まっていない段階でも相談できます」「課題整理から一緒に考えます」といった一文があるだけでも、問い合わせのハードルは少し下がります。
ユーザーが不安に感じそうなことを先回りして減らしておくことも、UX改善のひとつだと思います。
最後に見直したいのがCTAです。
CTAというと、目立つ色にする、ページの下に置く、何度も表示する、といった見せ方に意識が向きがちです。もちろんそれも大切ですが、UXの視点では、CTAはユーザーを急かすものではなく、次に何をすればいいかを案内するものだと考えています。
「お問い合わせ」だけでは少し広すぎる場合もあります。
Webサイト改善について相談する
まずは課題を相談する
制作について相談する
このように、行動の内容が具体的になると、ユーザーは次に起こることを想像しやすくなります。
以前まとめたUXライティングの記事ともつながりますが、ボタンや見出しの言葉は、ただ短くするだけでなく、ユーザーが迷わず次の行動を選べるかどうかが大切です。
また、ボタンの周辺に補足文があるか、スマートフォンでも押しやすいか、相談したくなるタイミングに置かれているかも見直したいポイントです。
問い合わせが増えないとき、アクセス解析を見ることはとても大切です。
どのページで離脱しているのか。問い合わせページまで来ているのか。CTAはクリックされているのか。数字を見ることで、改善の手がかりは見えてきます。
ただ、数字だけでは「なぜそこで迷ったのか」まではわかりにくいことがあります。
実際にユーザーの動きを観察してみると、思っていた場所で迷っていなかったり、逆にこちらが気にしていなかった言葉で止まっていたりすることがあります。以前のユーザビリティテストの記事でも、そうした想定外の迷いについて触れました。
アクセス解析で全体の傾向を見て、ユーザー観察で迷いの理由を探る。
その両方を見ることで、問い合わせにつながらない原因が少しずつ見えてきます。
Webサイトから問い合わせが増えないとき、ボタンの色や位置を変えることもひとつの改善です。
ただ、その前に、何を相談できる会社なのかが伝わっているか。ユーザーが知りたい順番で情報が並んでいるか。実績が安心材料になっているか。問い合わせ前の不安を減らせているか。そうした、ボタンにたどり着くまでの体験全体を見直すことが大切です。
問い合わせは、最後のボタンだけで生まれるものではなく、そこに至るまでの小さな理解や安心の積み重ねから生まれるものだと思います。
Webサイトからの問い合わせが増えないときは、ボタンだけでなく、導線や情報設計、問い合わせ前の不安まで含めて見直すことで、改善の糸口が見えてくることがあります。アスタスタでも、そうした課題整理の段階から一緒に考えていければと思います。
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