長坂 正仁
2026.3.12
いやぁ、うちってWeb制作をメインとした会社なんですよ。名古屋で2006年からやってる株式会社アスタスタっていうんですけど、UXデザインとかWebサイト制作とかシステム開発とか、そういうのが本業。
で、ありがたいことにスタッフが増えてきて、オフィスを拡張することになったんです。せっかくなら広くするだけじゃなくてきれいにしたいよね、ってことで、改装の提案を2社からもらったんです。CGパースってやつ。完成イメージを3Dで見せてくれるやつですね。
そしたら、片方はなんかのっぺりしてて「うーん……」って感じ。もう片方はすごくリアルで「おお、かっこいい!」ってなったんだけど、よく見たら──使う予定の素材と全然違う質感になってる。
え、それ詐欺じゃん?とまでは言わないけど、「これ見て決めていいの?」ってなるじゃないですか。
で、気になっていろいろ調べてみたら、これ業界全体の"あるある"だったんですよね。
CGパースに貼るテクスチャ(素材の質感データ)って、フリー素材とかダウンロード素材を使ってることが多い。でもそれだと、木目の深さとか、石の凹凸とか、布の光沢みたいな細かいところが全然再現できない。
結果どうなるかっていうと、施主さんに「思ってたのと違う」って言われる。設計事務所さんは手戻りが増える。みんな困ってるのに、なぜかずっと解決されてこなかった。
なんでかって?たぶん、現物の素材をちゃんとスキャンしてデータ化するのが地味に面倒だからですよね。専用のマテリアルスキャナーもいるし、PBR(物理ベースレンダリング)っていう技術の知識も必要だし。
ちょっと真面目な話をすると、建築業界ってめちゃくちゃDXが進んでるんですよ。
国土交通省のi-Construction 2.0ではBIM/CIMの活用がどんどん広がってるし、2026年度以降はデジタルツインの本格導入も予定されてる。世界のデジタルツイン市場は年平均約38%で成長してて、2030年には1,800億ドル規模になるなんて予測もある。日本のBIM市場だって年14%以上のペースで伸びてる。
要するに、建築の世界はどんどんデジタル化していくわけです。3Dモデルの精度は上がっていく。でもそこに貼るテクスチャが"それっぽいフリー素材"のままだったら、いくらモデルが精密でも意味ないですよね。
デジタル空間のリアリティって、結局のところ素材のリアリティで決まるんですよ。ここ、テストに出ます。
「Web制作会社がなんで素材スキャン?」って、もうめちゃくちゃ聞かれます。自分でも最初は「いや、たしかに畑違いだよな……」って思ってました。
でもね、よくよく考えたら、うちがずっとやってきたのって「お客様の商品やサービスを、正しく魅力的に伝える」ことなんですよ。それがたまたまWebサイトという手段だっただけで。
素材の質感を正しくデジタル化して、その魅力をちゃんと届ける。……あれ、これめっちゃうちの仕事じゃん?って気づいたとき、「あ、これうちがやるべきことだわ」ってストンと腹落ちしたんです。
そんなこんなで2025年7月、素材スキャン+デジタルカタログのプラットフォーム「Matereally(マテリアリー)」( https://matereally.com/ )をリリースしました。

どういうサービスかっていうと、外装材・内装材メーカーさんが、自社製品をMatereallyに登録してデジタルカタログを作れるんですよ。で、そのカタログを設計事務所や工務店、さらには一般の消費者にも使ってもらえる。そういう仕組みです。
ここ、ちょっと熱く語らせてください。
いま建材メーカーさんの多くがWebカタログを出してますよね。でも、ほとんどが写真をペタッと並べただけの平面的な見せ方なんです。紙のカタログをそのままPDFにしたようなやつとか。
それ、めちゃくちゃもったいなくないですか?
だって、外壁材の微妙なテクスチャの違いとか、タイルの光の当たり方で変わる表情とか、フローリング材の木目の立体感とか、写真1枚じゃ伝わらないじゃないですか。メーカーさんが何年もかけて開発した素材の魅力が、平面の画像だけで伝わるわけがない。
設計事務所の人も「この素材、実物見ないとわかんないんだよね」ってなるし、一般のお客さんだって「写真と実物って違うよね」ってみんな知ってる。結局ショールームに行かなきゃ決められない、ってなる。
そのショールームだって、全国どこにでもあるわけじゃない。地方だと近くにないことも多いし、忙しくてなかなか足を運べない人もいる。
Matereallyでは、アスタスタがメーカーさんの製品をお預かりして、専用スキャナーで高精細にスキャン、3Dテクスチャとしてカタログに登録します。
すると何が起きるかっていうと、画面上で素材を回したり、光の角度を変えたりしながら質感を確認できるようになる。凹凸の陰影も、光沢の具合も、平面の写真じゃ絶対にわからなかったディテールが、画面越しに伝わるんです。
メーカーさんにとっては、自社製品の魅力をこれまでよりずっとリッチに伝えられるツールになります。「この石材、写真じゃ伝わらないけど、実物はすごくいいんだよ」っていう素材ほど、Matereallyとの相性はバツグンです。
設計事務所や工務店にとっては、わざわざサンプル帳を取り寄せたりショールームに行かなくても、リアルな質感をオンラインで比較検討できる。しかも施主さんにURLをポンと共有するだけで「こういう素材を考えてるんですが」って提案できる。
一般の消費者にとっても、「自分の家に使う素材を、ちゃんと理解した上で選べる」ようになる。これって実はけっこう画期的で、いままでは専門家任せにするしかなかった素材選びに、施主さん自身が主体的に参加できるようになるんです。

あと、これはメーカーさんなら共感してもらえると思うんですけど、紙のサンプル帳って維持がめちゃくちゃ大変じゃないですか。
印刷・製本のコスト。新製品を追加するたびに刷り直し。廃番になった素材が載ったままの古いカタログが現場に残り続ける問題。在庫管理。倉庫代。そして最終的な廃棄処理。
このへん全部ひっくるめると、けっこうな金額になってるはずなんですよね。
Matereallyなら、製品の追加や差し替えはオンラインで即反映。廃番品もサッと非表示にできる。印刷コストゼロ。在庫管理不要。カーボンフットプリントの削減にもなる(SDGs的にもポイント高い)。
もちろん「実物のサンプルに完全に置き換わる」とまでは言いません。最終確認ではやっぱり現物を見たいケースもある。でも、候補を絞り込む段階で紙のカタログや物理サンプルに頼り切る時代は、そろそろ終わっていいんじゃないかなと思ってます。
サービス名は「Material(素材)」を「Really(本当に)」伝える、で「Matereally」。われながらいいネーミングだと思ってます(自画自賛)。
ちなみに、「カタログ機能はいらないから、スキャンデータだけほしい」というCGパース制作者さんや設計事務所さん向けに、スキャン特化型のサービス「PBRマテリアルスキャン」( https://pbr-scan.com/ )も用意してます。
実物の建材を送ってもらったら、うちで高精細にスキャンして、ベースカラー、ノーマル、ディスプレイスメント、メタルネス、ラフネス、アルファの6種類のPBRマップとしてお返しするサービスです。納品形式はJPEG、PNG、Substance形式(SBSAR/SBS)から選べて、シームレスなリピートテクスチャにも対応してます。
「自作テクスチャの限界を感じてる」「施主さんに毎回"なんか違う"って言われてつらい」って方は、まずこっちから試してみるのもアリです。
ちょっとかっこつけた言い方をすると、僕がやりたいのは質感の民主化です。
いまリアルな質感データを持ってるのって、大手メーカーとか大規模なCGスタジオがほとんど。でも、小さな設計事務所でも、地方の工務店でも、正確な素材データを使ったリアルな提案ができていいはずなんですよ。
そしてメーカーさんの側も、大手だけじゃなくて、こだわりのある中小メーカーさんこそ、自社素材の質感をちゃんと伝えられる場があるべきだと思ってる。いい素材を作ってるのに、見せ方のインフラがないせいで埋もれてしまうのは本当にもったいない。
Matereallyは、素材を作る人と、素材を選ぶ人をつなぐプラットフォームでありたい。「うちの規模じゃ無理」って諦めてる人たちに、「いや、できますよ」って言えるサービスを作りたかった。
正直に言うと、まだまだ道半ばです。やりたいことは山ほどあるし、「こうしたらもっと良くなるのに」って毎日思ってる。
でも、オフィス改装のときに感じたあの違和感──「このCGパース、本物と違くない?」っていうモヤモヤを、同じように感じてる人は絶対たくさんいるはず。
デジタルとリアルの境界がどんどん曖昧になっていくこの時代に、素材の"本当の姿"をちゃんと届ける。Web制作会社がなぜかそんなことを始めちゃいましたが、わりと本気でやってます。
興味持ってくれた方、ぜひサイト覗いてみてください。無料トライアルもやってますので。
Matereally(マテリアリー):https://matereally.com/
PBRマテリアルスキャン:https://pbr-scan.com/